詩吟は日本独自の伝統的な文化の一つです。日本人は奈良・平安時代の昔から漢詩を学び、自ら漢文で詩を作って来ました。 Chanting of a Chinese poetry or Japan-made Chinese poetry is one of the traditional culture unique to Japan. Japanese people learned Chinese poetry from the ancient times of the Nara-Heian period, and have made Japan-made poetry of Chinese letter by themselves. 


 タイトルをクリックすればリンクしているページが開かれます。

過去の吟題のリンク集

2017年07月20日

H29-07『鍾山即事』王安石

『鍾山即事』王(おう)安石(あんせき) 

(6本)

(3本)

澗水無聲繞竹流

竹西花草露春柔

簷相對坐終日

一鳥不鳴山更幽


澗水(かんすい)(こえ)(な)(たけ)(めぐ)って(なが)

竹西(ちくせい)花草(かそう)春柔(しゅんじゅう)(あら)わす

(ぼうえん)(あい(たい)して(ざ)すること終日(しゅうじつ)

一鳥(いっちょう)(な)かず(やま)(さら)(ゆう)なり


以下は『吟剣詩舞道漢詩集』(㈶日本吟剣詩舞振興会編)より引用しています。

【作者】王安石(10211086) 北宋の詩人・文章家・政治家。1079年より鍾山に隠棲。

杜甫の影響を受け、その詩風は華麗と評される。絶句においては北宋第一とされる。

【語釈】*鍾山・・・今の南京の東北にある名山・金陵(紫金山)。  *即事・・・その場の見たままを詠ずること。  *澗水・・・谷間を流れる水。  *露・・・あらわす。*春柔・・・若草のなよなよと柔らかいこと。  *茅簷・・・かやぶきの軒(のき)。   *相対・・・鍾山に向かい合う。  *終日・・・一日中。 

【通釈】谷川の水は音も無く竹林をめぐって流れている。

    その竹林の西には花や草が春のなよなよとした

    やわらかをあらわしている。

    自分はかやぶきののきの下にすわって

    一日中・鍾山に向かい合っていると、

    一羽の鳥の鳴き声も聞こえず、

    山はいよいよ静かである。

    

posted by 信風 at 15:01| 当月の吟題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月25日

H29-06『春』島崎藤村

*スマートホンでお聞きにならないれるときアクセスを邪魔するるような広告が表示されているようです。

 私は広告を一切出していません。表示される広告は私と全く無関係です。


この詩文は岳精流日本吟院総本部発行『詩吟教本』から引用させて頂きました。この詩文には島崎藤村の新体詩『春』に中国北宋の詩人蘇軾の『春夜』が挟まれています。

吟詠にあたりこの教本に示されている吟譜に忠実に沿うように心がけました。


(7本 一オクターブ下 合吟練習用

㈠ (たれ)かおもわん鶯(うぐいす)

  涙(なみだ)もこおる冬(ふゆ)の日(ひ)

  若(わか)き命(いのち)は春(はる)の夜(よ)

  花(はな)にうつろう夢(ゆめ)の間(ま)

  ああよしさらば美酒(うまざけ)

  うたいあかさん春(はる)の夜(よ)


    春宵(しゅんしょう)一刻(いっこく)(あたい)千金(せんきん)

    花(はな)精香(せいこう)(あ)(つき)(かげ)(あ)

    歌管(かかん)楼台(ろうだい)(こえ)細細(さいさい)

    鞦韆(しゅうせん)院落(いんらく)(よる)沈沈(しんしん)

    

      春宵一刻直千金

      花有清香月有陰

      歌管樓臺聲細細

      鞦韆院落夜沈沈


㈡ 梅(うめ)の匂(にお)いにめぐりあう

  春(はる)を思(おも)えばひと知(し)れず

  からくれないのかおばせに

  流(なが)れてあつき涙(なみだ)かな

  ああよしさらば花(はな)かげに

  うたいあかさん春(はる)の夜(よ)

  

島崎藤村】明治5年(西暦1872年)〜唱和18年(1943年)。今の長野県出身。9歳の時、学問のため上京し同郷の吉村家に寄宿しながら日本橋の泰明小学校に通う。本名・島崎春樹。


蘇軾10301101年。北宋(9601127年)の詩人・文章家。『荘子』を読んで「この書わが心を得たり」と感嘆したと伝わる。26歳のとき弟とともに進士に合格。知事をしていたとき彼の作詞に朝政を誹謗した詩があるとして死刑に処せられそうになったことがある。


【蘇軾の『春夜(しゅんや)』】この詩は王安石(10211086年)の『夜直(やちょく)』とともに、春の夜を詠じた詩として双璧と言われた。

因みに蘇軾の『夜直』は以下のとおり。

  金爐香盡漏聲殘

    金炉(きんろ)(こう)(つ)きて漏声(ろうせい)(ざん)

  剪剪輕風陣陣寒

    剪々(せんせん)たる軽風(けいふう)陣々(じんじん)(さむ)

  春色惱人眠不得

    春色(しゅんしょく)(ひと)(なや)まして(ねむ)(え)

  月移花影上闌干

    (つき)(うつ)って花影(かえい)闌干(らんかん)(のぼ)


【『春夜』の語釈及び通釈】(財団法人 日本吟剣詩舞振興会編『吟剣詩舞道漢詩集』より引用。)

  (語釈)*春宵・・・春夜に同じ。   *一刻・・・15分。他に一日の百分の一(十四分あまり)。一日の四十八分の一(三十分)。   *直・・・値と同じ。   *千金・・・漢代では黄金一斤を一金と言った。千金は大変高価であることを言う。   *清香・・・清らかな香り。   *陰・・・月がおぼろにかすんでいること。   *歌管・・・歌は歌声。管は管楽器で笙や笛の類を言う。   *楼台・・・高い建物。楼は高殿で二建て以上の建物を言う。   *細細・・・かすかに音がするさま。   *鞦韆・・・ぶらんこ。   *院落・・・屋敷内の中庭。   *沈沈・・・夜の静かにふけてゆくさま。


 (通釈)

  春の夜はほんのわずかな時間が千金の値うちがある。

  花には清らかな香りがただよっており、

     なんともいえぬ風情である。

  先ほどまで歌を歌ったり楽器を奏でたりして、

     にぎやかだった高殿も

        今はかすかに音が聞こえるばかり。

  中庭には置き捨てられたぶらんこが一つ。

  夜は静かにふけていく。




posted by 信風 at 21:55| 当月の吟題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月10日

お知らせ

4月投稿の『短歌・源実朝作「春雨の」』の男声を入れ替えました
posted by 信風 at 13:58| 当月の吟題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月30日

H29-05『事に感ず』于濆

(こと)(かん)  (う)(ふん)

 

  男声用(1本)

女声用(6本)

花開蝶滿枝

花謝蝶還稀

惟有舊巣燕

主人貧亦歸


(はな)(ひら)けば(ちょう)えだ)(み)

(はな)しゃ)すれば(ちょう)(また)まれ)なり

(ただ)旧巣(きゅうそう)(つばめ)(あ)

主人(しゅじん)(まず)しきも(また)(かえ)


この吟題は平成14年(2014年)2月にアップロードした下記URLの再掲です。

http://takaban.seesaa.net/archives/201402-1.html


この詩の;


(転句と結句)

人生は、「無欲・温和・誠実・謙虚」などの徳目を実践しつつ、自らそのようになることが一番良いことだと思います。そういう人は見た目が豊かそうでなくても、実に心豊かであると思います。


(起句と承句)

自分を大きく見せようとして人前に見栄を張ることは最も愚かなことだと思います。


*作者等について、財団法人日本吟剣詩舞振興会編『吟剣詩舞漢詩集』から抜粋・引用します。

【作者】于濆(845年頃)晩唐の詩人。出身地や生没年については不明。861年の進士。判官で終わった。

【語釈】*花・・・富貴権勢の人のたとえ。  *滿枝・・・軽薄な人々が富貴権勢の人のもとにむらがり集まることのたとえ。  *謝・・・花の散り落ちることで、ここは富貴権勢の人が没落してしまったことのたとえ。

【通釈】花が咲くと蝶はその木の枝に群がり集まってくる。ところが、花が散ってしまうともうその枝には蝶は来ない。ただ前から巣を作っていた燕だけは、その家の主人が貧乏であっても、去年の古巣を忘れずにまたもどってくる。(世間の軽薄な人びとは、富貴権勢の人のところにむらがり集まるが、その人がいったん没落してしまうともう見向きもしない。ところが、厚情の人だけは相手が貧乏になっても、深い交わりを結んでいる。)


なお、この詩に関連する漢詩で広瀬旭荘作『桜祠に遊ぶ』があります。(関連: 20120227日に「3月の吟題」   http://takaban.seesaa.net/article/254343347.html  )




posted by 信風 at 17:38| 当月の吟題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月10日

お知らせ

短歌・源実朝作『春雨の』について、吟詠を入れ替えました。
伴奏は5本で吟詠は1オクターブ下のものを加え、水2本のものを削除しました。
posted by 信風 at 17:41| 当月の吟題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする