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この吟詠では、次の詩の第一、第四及び第六章を取り上げてみました。
北原白秋(本名は北原隆吉、1885-1942年、福岡県柳川の人、早大中退)はこの詩を大正10年(1921年)11月に『明星』に「落葉松七章」として発表しています。白秋は詩集『水墨集』にこの詩を収録するとき第四章を新たに挿入し全体で八章にし、若干の補正をして下に示すような形にしています。
この詩には、静かな林の中を独り歩いてゆく様子、木の葉の落ちる音、風の音、鳥の鳴き声、沈黙、一枚の絵の中で独りの詩人が自然の中に、自然と一体となって溶け込んでゆくような陰影、そういった情景が感じられます。
この詩が「大正一二年六月刊の詩集「水墨集」に収められたさい、作者はみずからこの詩の前に付言して、・・・(途中略)・・・ただ心より心へと伝ふべし。・・・(途中略)・・・読者よ、これらは声に出して歌ふべきものにあらず、・・・(以下略)」(出典:學燈社「現代詩」吉田精一著、昭和三十年六月一日、十四版発行)とあり、この詩を吟じることは作者の意図に沿わないようです。
落葉松 北原白秋
一
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
二
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
三
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
四
からまつの林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふみちなり。
さびさびといそぐみちなり。
五
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。
六
からまつの林を出でて、
浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。
浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。
七
からまつの林の雨は
さびしけどいいよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつのぬるるのみなる。
八
世の中よ、あはれなりけり。
常なれどうれしかりけり。
山川にやまがはの音、
からまつにからまつのかぜ。


