詩吟は日本独自の伝統的な文化の一つです。日本人は奈良・平安時代の昔から漢詩を学び、自ら漢文で詩を作って来ました。 Chanting of a Chinese poetry or Japan-made Chinese poetry is one of the traditional culture unique to Japan. Japanese people learned Chinese poetry from the ancient times of the Nara-Heian period, and have made Japan-made poetry of Chinese letter by themselves. 


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過去の吟題のリンク集(一部)

2009年10月23日

11月の吟題『落葉松』(北原白秋)

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この吟詠では、次の詩の第一、第四及び第六章を取り上げてみました。

北原白秋(本名は北原隆吉、1885-1942年、福岡県柳川の人、早大中退)はこの詩を大正10年(1921年)11月に『明星』に「落葉松七章」として発表しています。白秋は詩集『水墨集』にこの詩を収録するとき第四章を新たに挿入し全体で八章にし、若干の補正をして下に示すような形にしています。

この詩には、静かな林の中を独り歩いてゆく様子、木の葉の落ちる音、風の音、鳥の鳴き声、沈黙、一枚の絵の中で独りの詩人が自然の中に、自然と一体となって溶け込んでゆくような陰影、そういった情景が感じられます。


この詩が「大正一二年六月刊の詩集「水墨集」に収められたさい、作者はみずからこの詩の前に付言して、・・・(途中略)・・・ただ心より心へと伝ふべし。・・・(途中略)・・・読者よ、これらは声に出して歌ふべきものにあらず、・・・(以下略)」(出典:學燈社「現代詩」吉田精一著、昭和三十年六月一日、十四版発行)とあり、この詩を吟じることは作者の意図に沿わないようです。

 

落葉松   北原白秋

 

一 

からまつの林を過ぎて、

からまつをしみじみと見き。

からまつはさびしかりけり。

たびゆくはさびしかりけり。

 

二 

からまつの林を出でて、

からまつの林に入りぬ。

からまつの林に入りて、

また細く道はつづけり。

 

    三

からまつの林の奥も

わが通る道はありけり。

霧雨のかかる道なり。

山風のかよふ道なり。

 

    四

からまつの林の道は

われのみか、ひともかよひぬ。

ほそぼそと通ふみちなり。

さびさびといそぐみちなり。

 

    五

からまつの林を過ぎて、

ゆゑしらず歩みひそめつ。

からまつはさびしかりけり、

からまつとささやきにけり。

 

    六

からまつの林を出でて、

浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。

浅間嶺(あさまね)にけぶり立つ見つ。

からまつのまたそのうへに。

 

     七

からまつの林の雨は

さびしけどいいよしづけし。

かんこ鳥鳴けるのみなる。

からまつのぬるるのみなる。

 

     八

世の中よ、あはれなりけり。

常なれどうれしかりけり。

山川にやまがはの音、

からまつにからまつのかぜ。

posted by 信風 at 15:13| 当月の吟題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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