『奥飛騨慕情』武田静山
上から8本→7本→6本の順になっております。
この詩文は岳精流日本吟院総本部が発行した横山岳精譜『詩吟教本』(人の巻)から引用しております。
この詩文はサークル「鷹番詩吟を楽しむ会」において11月の吟題として取り上げているものです。歌謡曲の歌い方についてはYouTubeから作詞者・竜鉄也が自ら歌っている動画を参考にしました。
音程は8本・7本・6本の各1オクターブ下げた高さにしてあります。
風の噂(うわさ)に一人(ひとり)きて
湯(ゆ)の香(か)恋(こい)しい奥飛騨路(おくひだじ)
水(みず)の流(なが)れもそのままに
君(きみ)はいで湯(ゆ)のネオン花
ああ奥飛騨(おくひだ)に 雨が降(ふ)る
噫(ああ)奥飛騨(おくひだ)緑樹(りょくじゅ)の霖(あめ)
清流(せいりゅう)変(かわ)らず君(きみ)を慕(した)いて尋(たず)ぬ
紅燈(こうとう)冷露(れいろ)天(てん)水(みず)の如(ごと)し
風噂(ふうそん)飄零(ひょうれい)客恨(きゃくこん)深(ふか)し
抱(だ)いたのぞみのはかなさを
知(し)るや谷間(たにま)の白百合(しらゆり)よ
泣(な)いて又(また)呼(よ)ぶ雷鳥(らいちょう)の
声(こえ)も悲(かな)しく消(き)えてゆく
ああ奥飛騨(おくひだ)に 雨が降(ふ)る
白百合(しらゆり)は薫(かお)り雷鳥(らいちょう)は呼(よ)ぶ
儚望(ぼうぼう)未練(みれん)切(しき)りに長吁(ちょうく)す
消(き)えては浮(うか)び浮(うか)んでは滅(き)ゆ酒杯(しゅはい)の影(かげ)
噫(ああ)奥飛騨(おくひだ)何(いず)れの日(ひ)か蘇(よみがえ)らん
【語釈】*紅燈・・紅色の燈火。 *冷露・・冷たい露。 *風噂・・聞こえてきた噂。 *飄零・・木の葉がひらひらと落ちるさま。 *客恨・・故郷を離れて旅に出て感じるものさびしさ。 *儚望・・はかない望。 *未練・・思い切ることができないこと。 *酒杯・・さかずき。
【漢文作者】武田静山・・大正元年(1912)年〜昭和58(1983)年 内科医 現代漢詩作家 名は昌俊 山形県の人。昭和10年 岩手医専(現・岩手医科大学)を卒業後、現役の軍医として北支駐屯軍に勤務、除隊後も2回応召、軍医大尉として活躍、勲5等瑞宝章を賜わる。終戦後は山形市に内科・静山堂を開業。地域医療に尽くす傍ら本格的な作詩活動を始め、その数は600首以上に及んだ。昭和50年社会福祉事業功労者として表彰され、昭和58年70歳で没した。「吟魂碑」の作詩等、多くの詩を通じ岳精流日本吟院のために貢献された。
(三河岳精会ホームページより引用)


